FXの期待値とリスクリワードの計算方法:勝率60%でも負ける理由

この記事の要点

  • 期待値 = 勝率 × 平均利益 − 負け率 × 平均損失。勝率60%・平均利益1,500円・平均損失3,000円なら、1回あたり−300円
  • 損益分岐になる勝率は 1 ÷(1 + リスクリワード)。リスクリワード1なら50%、2なら約33%、0.5なら約67%が必要
  • 勝率は回数が少ないとぶれやすい。本当の勝率が50%でも、20回の取引では勝率が約28%〜72%の範囲でばらつくことがある

FXの期待値は、勝率×平均利益 − 負け率×平均損失 で計算します。1回の取引で、平均していくら増えるか(減るか)を表す数字です。

勝率が60%でも、負けたときの1回の損失が勝ったときの利益より大きければ、期待値はマイナスになり、続けるほど資金は減ります。この記事では、期待値とリスクリワードの計算、損益分岐になる勝率、そして「何回取引すれば勝率を判断できるか」を数字で確かめます。

※この記事は2026年11月時点の情報です。計算例は説明のための仮定で、実在の取引成績ではありません。

期待値の計算式

期待値は、1回の取引で平均していくらの損益になるかを示します。

期待値 = 勝率 × 平均利益 − 負け率 × 平均損失

勝率60%、勝ったときの平均利益1,500円、負けたときの平均損失3,000円で計算します。

  • 勝ちの部分:0.6 × 1,500円 = 900円
  • 負けの部分:0.4 × 3,000円 = 1,200円
  • 期待値:900円 − 1,200円 = −300円

1回あたり平均300円ずつ減る取引です。100回続けると、合計はおよそ−30,000円になります。

項目100回の取引での計算
勝ち60回 × 1,500円 = 90,000円
負け40回 × 3,000円 = 120,000円
合計−30,000円

勝つ回数が多いので、取引しているあいだは「勝てている」と感じやすい組み立てです。それでも、負けの1回が大きいため、合計はマイナスになります。

リスクリワードと損益分岐の勝率

リスクリワードは、平均利益を平均損失で割った比率です。上の例では1,500円÷3,000円=0.5です。

期待値がちょうどゼロになる勝率(損益分岐の勝率)は、リスクリワードから計算できます。

損益分岐の勝率 = 1 ÷(1 + リスクリワード)

リスクリワード例(平均利益:平均損失)損益分岐の勝率
0.51,500円:3,000円約66.7%
13,000円:3,000円50%
1.54,500円:3,000円40%
26,000円:3,000円約33.3%
39,000円:3,000円25%

リスクリワード0.5の取引は、勝率が約66.7%を超えないとプラスになりません。勝率60%の例が負けるのはこのためです。逆にリスクリワードが2なら、勝率が約33.3%を超えればプラスになります。

ただし、利益の目標を遠くに置けばリスクリワードは上がりますが、その値段まで届かずに終わる取引が増えるため、勝率は下がるのがふつうです。リスクリワードと勝率は、片方だけを見ても判断できません。

スプレッドなどの費用を入れると損益分岐は上がる

取引のたびにかかる費用は、勝ちを小さく、負けを大きくします。1回の取引で利益や損失の幅が小さいほど、費用の影響は大きくなります。

1回の費用を12円(たとえば6,000通貨の取引で、0.2銭の差に相当)として計算します。

取引の幅費用を引く前(利益:損失)費用を引いた後損益分岐の勝率
小さい(目標・損切りとも300円)300円:300円288円:312円52%
大きい(目標・損切りとも3,000円)3,000円:3,000円2,988円:3,012円約50.2%

同じ費用でも、利益と損失の幅が小さい取引では、損益分岐の勝率が50%から52%へ上がります。短い時間で小さな値幅を何度も取る取引ほど、費用の分だけ高い勝率が必要になります。

何回取引すれば勝率を判断できるか

自分の取引記録から勝率を計算するとき、気をつけたいのが回数です。回数が少ないと、勝率は偶然で大きくぶれます。

本当の勝率が50%の取引を何回か行ったとき、記録上の勝率がどれくらいばらつくかの目安です(おおよそ95%の範囲)。

取引回数記録上の勝率がばらつく範囲の目安
20回約28%〜72%
50回約36%〜64%
100回約40%〜60%
400回約45%〜55%

※本当の勝率を50%とし、標準誤差(√(0.5×0.5÷回数))の約2倍を上下にとった目安です。

20回の取引で勝率60%だったとしても、本当の勝率が50%である可能性は十分に残ります。期待値を判断するなら、同じやり方で少なくとも数十回〜100回程度の記録を集めてから計算するほうが、偶然に振り回されにくくなります。

100回の取引で何連敗が起こりうるか

期待値がプラスの取引でも、連敗は避けられません。負ける確率が40%(勝率60%)の取引を100回行ったとき、どこかで一度でも次の連敗が起こる確率を計算すると、次のとおりです。

連敗の回数負ける確率40%(勝率60%)負ける確率50%(勝率50%)
5連敗約46%約81%
7連敗約9%約32%
10連敗約0.6%約4%

「5回続けて負ける確率」は、ある5回だけを取り出せば0.4の5乗で約1%です。しかし100回の取引の中のどこかで起こる確率は、勝率60%でも約46%あります。勝率50%なら、5連敗は100回の中で起こるほうがふつうです。

連敗は「やり方が間違っている」サインとは限りません。期待値がプラスでも起こるものとして、連敗しても資金が持つ数量で取引することが前提になります。連敗したときに残高がどう減るかは、FXの資金管理:損失額から取引数量を決める5つの手順で計算しています。

レバレッジを下げても期待値の符号は変わらない

取引数量を半分にすると、1回の利益も損失も半分になり、期待値の金額も半分になります。しかし、マイナスの期待値がプラスに変わることはありません。

取引数量平均利益平均損失期待値(勝率60%)
6,000通貨1,500円3,000円−300円
3,000通貨750円1,500円−150円

数量を小さくすると、減るペースがゆるやかになります。それは損失を小さくするうえで大切ですが、取引のやり方そのものを有利にするわけではありません。期待値を変えるには、勝率か、平均利益と平均損失の比率を変える必要があります。

自分の取引の期待値を計算する手順

取引記録から期待値を計算する手順です。

手順やること
1同じやり方で行った取引だけを集める(やり方が違う取引を混ぜない)
2勝った回数・負けた回数から勝率を計算する
3勝ち・負けそれぞれの平均額を、費用(スプレッドなど)を含めた実際の損益で計算する
4期待値 = 勝率×平均利益 − 負け率×平均損失 を計算する
5回数が少ない場合は、勝率のばらつきの表と見比べて、偶然の範囲かどうかを考える

計算した期待値がマイナスなら、数量を増やすほど損失のペースが上がります。その場合は、数量を増やす前に、損切りの位置や利益確定の位置を見直します。

よくある質問

勝率は高いほうがよいのではないですか?

勝率だけでは判断できません。勝率が高くても、負けたときの損失が大きければ期待値はマイナスになります。勝率とリスクリワードを組み合わせて期待値で判断します。

リスクリワードは何倍以上にすればよいですか?

決まった正解はありません。リスクリワードを上げると勝率は下がりやすいため、自分の記録で、両方を組み合わせた期待値がプラスになっているかを確かめるのが確実です。

期待値がプラスなら、必ず利益になりますか?

なりません。期待値は「平均すると」の数字で、回数が少なければ結果はぶれます。連敗が続けば、期待値がプラスでも資金は一時的に大きく減ります。

何回分の記録があれば十分ですか?

回数が多いほど勝率のぶれは小さくなります。20回では勝率が約28%〜72%の範囲でぶれることがあるため、少なくとも数十回〜100回程度は集めてから判断するほうが安全です。

※記事の計算例は、条件を明示した仮定の計算です。実際の約定・ロスカットの価格や将来の損益を示すものではありません。

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