FXの証拠金維持率の計算方法:実効レバレッジとの関係とロスカットまでの値幅

この記事の要点

  • 証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100。資金15万円で5,000通貨(上限25倍で必要証拠金3万円)なら500%
  • 上限25倍で計算する場合、取引開始時の維持率は 2,500÷実効レバレッジ(%) になる。実効5倍なら500%、25倍なら100%
  • 同じ5,000通貨でも、上限5倍のコースだと必要証拠金が5倍になり、維持率は100%から始まる。維持率の数字はコースによって変わる

証拠金維持率は、有効証拠金÷必要証拠金×100 で計算します。口座にあるお金が、いま持っている建玉に必要な証拠金の何%あるかを示す数字で、FX会社はこの数字を見て、追加の入金(追証)やロスカットを判断します。

この記事では、資金15万円でドル円を150円で買う例を使い、維持率の計算と、何円下がるとロスカットになるかを計算します。

※この記事は2026年11月時点の情報です。計算例は説明のための仮定で、費用・スワップ・約定のずれを含みません。ロスカットの判定方法はFX会社ごとに異なります。

証拠金維持率の計算式

証拠金維持率の計算に使うのは、次の2つの金額です。

用語意味計算
有効証拠金口座の資金に、いま持っている建玉の含み損益を足した金額資金 + 含み損益
必要証拠金建玉を持ち続けるのに必要な証拠金為替レート × 取引数量 × 証拠金率

証拠金維持率(%)= 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100

証拠金率は、口座のレバレッジ上限で決まります。上限25倍なら4%、10倍なら10%、5倍なら20%です。国内の個人向け店頭FXでは、取引金額の4%以上の証拠金が必要と決められています(レバレッジにすると25倍以下)。

会社によっては呼び方や式が少し違います。たとえば松井証券FXでは「口座維持率」と呼び、総資産から注文中の証拠金を引いた額を、保有中の建玉の必要証拠金で割って計算します。考え方は同じで、「口座のお金が、必要な証拠金に対してどれだけ余っているか」です。

資金15万円・5,000通貨で計算する

資金15万円、上限25倍の口座で、ドル円を150円で5,000通貨買った場合を計算します。

  • 必要証拠金:150円×5,000通貨×4%=30,000円
  • 有効証拠金:取引直後は含み損益がないので150,000円
  • 証拠金維持率:150,000円÷30,000円×100=500%

ドル円が147円に下がると、こう変わります。

  • 含み損:3円×5,000通貨=15,000円 → 有効証拠金は135,000円
  • 必要証拠金:147円×5,000通貨×4%=29,400円
  • 証拠金維持率:135,000円÷29,400円×100=約459%

必要証拠金は「いまの為替レート」で計算し直されるので、レートが下がると必要証拠金も少し小さくなります。それでも有効証拠金の減り方のほうが大きいため、維持率は下がっていきます。

証拠金維持率と実効レバレッジの関係

実効レバレッジは「為替レート×取引数量÷有効証拠金」で、維持率は「有効証拠金÷(為替レート×取引数量×証拠金率)」です。2つの式は逆数の関係にあり、上限25倍(証拠金率4%)で計算する場合は次のように換算できます。

証拠金維持率(%)= 2,500 ÷ 実効レバレッジ

実効レバレッジ資金15万円での数量必要証拠金(上限25倍)証拠金維持率
1倍1,000通貨6,000円2,500%
2倍2,000通貨12,000円1,250%
5倍5,000通貨30,000円500%
10倍10,000通貨60,000円250%
25倍25,000通貨150,000円100%

維持率が高いほど、実効レバレッジは低い(取引数量が資金に対して小さい)状態です。実効25倍は、維持率100%と同じ意味になります。

実効レバレッジの計算そのものは、FXレバレッジの計算方法:1倍・2倍・5倍・25倍で損益を比べるで詳しく説明しています。

何円下がると追証・ロスカットになるか

維持率が一定の水準を下回ると、追証やロスカットの対象になります。水準はFX会社によって違います。たとえば松井証券FXの個人口座では、ロスカットの水準を50%・60%・70%・80%・90%から選べ、維持率が100%を下回った状態で取引日を終えると追証が発生します。

ここでは「100%で追証、50%でロスカット」として、資金15万円・上限25倍で買った場合に、ドル円がいくらまで下がるとそれぞれの水準に届くかを計算します。

実効レバレッジ数量開始時の維持率維持率100%になるレート維持率50%になるレート150円からの下げ幅(50%まで)
2倍2,000通貨1,250%約78.13円約76.53円約73.5円
5倍5,000通貨500%125.00円約122.45円約27.6円
10倍10,000通貨250%約140.63円約137.76円約12.2円
25倍25,000通貨100%150.00円約146.94円約3.1円

実効25倍で始めると、取引を始めた時点ですでに維持率100%です。そこから約3円下がるだけでロスカットの水準に届きます。5倍なら27円以上の余裕があります。

計算のしかたは次のとおりです。維持率がちょうど基準(50%なら0.5)になるレートを p とすると、

  • 有効証拠金 = 150,000円 −(150円 − p)× 数量
  • 必要証拠金 = p × 数量 × 4%
  • 有効証拠金 = 必要証拠金 × 0.5

この3つを満たす p を解いています。

レバレッジのコースで維持率は変わる

ここが混同しやすいところです。証拠金維持率の分母である必要証拠金は、口座のレバレッジ上限(コース)の証拠金率で計算されます。そのため、まったく同じ建玉でも、選んでいるコースによって維持率の数字が変わります。

資金15万円で、ドル円を150円で5,000通貨買った場合で比べます。

コース(証拠金率)必要証拠金開始時の維持率維持率50%になるレート
25倍(4%)30,000円500%約122.45円
10倍(10%)75,000円200%約126.32円
5倍(20%)150,000円100%約133.33円

5倍のコースでは、5,000通貨(実効5倍)がその口座で持てる上限いっぱいです。維持率は100%から始まり、少しでも含み損が出れば100%を下回ります。

つまり、低いレバレッジのコースは「数量を増やしすぎないための枠」として働く一方、同じ数量を持つなら、ロスカットまでの値幅は25倍のコースより狭くなります。維持率の数字を見るときは、どのコースで計算された数字なのかを合わせて確認する必要があります。損失の金額そのものは、どのコースでも取引数量で決まります。

維持率が下がったときにできること

維持率を上げる方法は、計算式から見ると2つしかありません。

方法式のどこが変わるか注意点
入金する有効証拠金が増える損失が膨らんだ取引にお金を足すことになる。追証の解消には期限がある
建玉の一部を決済する必要証拠金が減る(含み損は確定する)決済した分の損失はその時点で確定する

負けている取引に入金して維持率を回復させると、結果として、最初に決めた許容損失額を超える損失を抱えることがあります。取引を始める前に、損切りの値段を決めて逆指値注文を入れておき、ロスカットより手前で自分で決済するのが基本です。損切りの値幅から取引数量を決める手順は、FXの資金管理:損失額から取引数量を決める5つの手順で説明しています。

ロスカットが働いても計算どおりにならないことがある

ロスカットは、維持率が水準を下回った瞬間に、その値段で決済されるとは限りません。

松井証券FXでは、ロスカットの判定を一定の周期で行うとしており、維持率が200%以下のときは60秒、200%を超えるときは300秒を超えない周期で監視すると説明しています。また、相場が急に動くと、決済される値段が水準より大きく不利になることがあります。金融庁も、相場が急変したときは、ロスカットが働いても証拠金を上回る損失が出ることがあると注意を呼びかけています。

表の「維持率50%になるレート」は、その値段ぴったりで決済できた場合の理論上の目安です。実際には、そこより手前で自分で損切りする前提で考えます。

よくある質問

証拠金維持率は何%あれば安全ですか?

何%なら安全という基準はありません。維持率は計算に使うコースによって数字が変わり、相場の急変ではロスカットの水準を飛び越えることもあるためです。「何円下がるとロスカットか」を計算し、それより手前に自分の損切りを置けているかを確かめる方法が確実です。

維持率が100%を下回るとすぐにロスカットされますか?

会社によって違います。100%を下回ったときに追証が発生し、期限までに解消しないと強制決済になる会社もあれば、100%をロスカットの水準にしている会社もあります。利用する会社の取引ルールで、追証とロスカットの水準を確認してください。

注文中(まだ約定していない注文)にも証拠金は必要ですか?

会社によっては、新規の注文を出した時点で注文分の証拠金を確保します。松井証券FXの口座維持率は、総資産から注文証拠金を差し引いて計算します。注文を多く出していると、その分だけ維持率が下がって見えることがあります。

維持率を上げるために入金するのは良い方法ですか?

一時的にロスカットを避けられますが、損失が出ている取引に資金を追加することになります。入金する前に、その取引が最初に決めた損切りの値段をすでに超えていないかを確認してください。

この記事で参照した情報源(2件)

※記事の計算例は、条件を明示した仮定の計算です。実際の約定・ロスカットの価格や将来の損益を示すものではありません。

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