ロスカットされた直後に相場が戻るのはなぜ? 数量とロスカットまでの値幅から考える

この記事の要点

  • 資金15万円・ドル円150円で買う場合、維持率50%でロスカットになるまでの下げ幅は、実効5倍で約27.6円、10倍で約12.2円、20倍で約4.6円、25倍で約3.1円
  • ロスカットは相場の見方とは関係なく、証拠金維持率だけで機械的に決まる。値幅が狭いと、ふだんの上げ下げの途中でロスカットに届く
  • 損切りの値段を自分で決め、その損切りで止まる数量にしておけば、ロスカットより先に自分の損切りが働く

「ロスカットされた直後に相場が戻った」という経験は、FXの失敗談でよく語られます。悔しさから「狙われたのでは」と考えたくなりますが、まず確かめたいのは、ロスカットまでの値幅が、ふだんの値動きの範囲に入っていなかったか です。

数量が資金に対して大きいと、ロスカットまでの値幅は数円、場合によっては1円台まで狭くなります。この記事では、資金15万円・ドル円150円の例で、実効レバレッジごとにロスカットまでの値幅を計算し、戻る前にロスカットされてしまう状態をどう避けるかを考えます。

※この記事は2026年11月時点の情報です。計算例は説明のための仮定で、ロスカットの判定方法はFX会社ごとに異なります。

ロスカットは「相場の見方」とは関係なく決まる

ロスカットは、証拠金維持率が会社の決めた水準を下回ったときに、建玉が強制的に決済される仕組みです。判定に使われるのは維持率だけで、その値段がチャート上で意味のある場所かどうかは関係ありません。

つまり、ロスカットされた値段は、「相場が反転する前の最後の値段」ではなく、「その数量と資金で、維持率が水準を下回った値段」にすぎません。そのあと相場が戻るかどうかは、ロスカットとは別に決まります。

戻ったように感じる場面には、次の2つが重なっていることが多いはずです。

起きていること中身
ロスカットまでの値幅が狭い数量が大きく、ふだんの値動きの範囲でロスカットに届く
戻った場面のほうが記憶に残るロスカット後にさらに下がった場面は、「ロスカットされてよかった」と感じて印象に残りにくい

実効レバレッジごとのロスカットまでの値幅

資金15万円、レバレッジ上限25倍(証拠金率4%)の口座で、ドル円を150円で買った場合を計算します。

実効レバレッジ取引数量維持率100%になるレート(下げ幅)維持率50%になるレート(下げ幅)
5倍5,000通貨125.00円(25.0円)約122.45円(約27.6円)
10倍10,000通貨約140.63円(約9.4円)約137.76円(約12.2円)
20倍20,000通貨約148.44円(約1.6円)約145.41円(約4.6円)
25倍25,000通貨150.00円(0円)約146.94円(約3.1円)

実効20倍では、約4.6円下がるだけで維持率50%に届きます。維持率100%を基準にしている会社なら、約1.6円です。実効25倍は、取引を始めた瞬間に維持率100%なので、100%でロスカットする会社なら、ほとんど余裕がありません。

これだけ値幅が狭いと、相場の方向の見立てが合っていても、途中の上げ下げでロスカットに届きます。「ロスカットされた直後に戻った」と感じる典型的な状態です。

計算のしかたはFXの証拠金維持率の計算方法で説明しています。

会社や時間帯で、ロスカットの判定は変わる

ロスカットの水準や判定のしかたは、会社によって違います。同じ数量でも、思っていたより早くロスカットされることがあります。

会社公式サイトの説明
松井証券FXロスカット率を50%〜90%から選ぶ。判定は、維持率200%以下なら60秒、200%超なら300秒を超えない周期で行う
SBI FXトレード証拠金維持率が50%を下回るとロスカット
みんなのFX証拠金維持率を常に判定し、100%以下でロスカット
外為どっとコム(外貨ネクストネオ)ロスカットの水準を100%〜50%から選べるが、毎営業日の取引終了時刻の直前1時間は、設定にかかわらず有効比率100%を下回った時点でロスカット

たとえば外為どっとコムの例では、水準を50%に設定していても、取引終了前の1時間は100%が基準になります。上の表でいえば、実効10倍の建玉は、その時間帯には約9.4円の下げでロスカットされることになります。自分の口座のルールで計算しておかないと、「まだ大丈夫なはずだったのにロスカットされた」と感じる原因になります。

急な値動きでは、ロスカットの値段より不利に決済される

ロスカットは、維持率が水準を下回ったあとに決済の注文が出されます。相場が急に動いたときや、週明けに値段が飛んで始まったときは、計算した値段より不利な値段で決済されることがあります。

金融庁は、相場が急変したときには、ロスカットが働いても証拠金を上回る損失が出ることがあると注意を呼びかけています。急に大きく動いたあとは、反動で値段が戻ることもあります。その場合、「ロスカットされた値段」と「直後の値段」の差は、ふだんよりさらに大きく見えます。

戻る前にロスカットされないための数量

ロスカットされた直後に戻るのを防ぐ方法は、「ロスカットされにくい会社を選ぶ」ことではなく、ロスカットより手前に自分の損切りを置き、その損切りで許容損失額に収まる数量にする ことです。

資金30万円、許容損失を1%(3,000円)、損切り幅を0.5円として数量を決めた場合と比べます。

決め方数量損切りまで維持率50%のロスカットまで
許容損失から決めた6,000通貨(実効3倍)0.5円で3,000円の損失約48円
口座の上限近くまで建てた45,000通貨(実効22.5倍)0.5円で22,500円の損失約3.7円

許容損失から決めた数量なら、ロスカットまで約48円の余裕があり、自分で決めた0.5円の損切りが必ず先に働きます。損切りされたあとに相場が戻ることはもちろんありますが、そのときの損失は計画どおりの3,000円です。

損切りのあとに相場が戻るかどうかは、誰にも事前には分かりません。分かっているのは、損切りで止めた損失の大きさだけです。数量の決め方は、FXの資金管理:損失額から取引数量を決める5つの手順と、ロット計算ツールで確かめられます。

ロスカットのあとにしないほうがよいこと

ロスカットの直後は、取り返したい気持ちが強くなります。次のような行動は、損失をさらに大きくしやすい流れです。

行動なぜ損失が大きくなりやすいか
すぐに同じ方向で、前より大きな数量で入り直す残高が減っているので、同じ数量でも実効レバレッジはさらに高くなる
反対方向に倍の数量で入る相場の見方が定まらないまま数量だけが大きくなる
入金してすぐに取引を再開する最初に決めた取引資金を超えてお金を使うことになる

まず取引を止めて、ロスカットされた取引の建値・数量・ロスカットの値段を書き出し、ロスカットまでの値幅が何円だったかを計算してみてください。原因が数量にあれば、次から直せます。

業者の値段がおかしいと感じたら

ロスカットの値段が、ほかの情報源の値段と比べて明らかに離れていると感じた場合は、まず取引している会社に、約定の記録と、その時刻の提示レートを確認できます。登録業者で、金融先物取引業協会に加入している会社とのトラブルは、協会や証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)に相談できます。

根拠なく「狙われた」と決めつける前に、記録と計算で原因を確かめるほうが、次の取引に生かせます。

よくある質問

ロスカットの水準が低い(50%など)会社のほうが有利ですか?

水準が低いほどロスカットまでの値幅は広がりますが、そのぶん、ロスカットされたときの損失は大きくなります。どちらにしても、ロスカットより手前で自分の損切りが働く数量にしておくことが前提です。

ロスカットされたあと、すぐに相場が戻ったのは偶然ですか?

一回ごとの値動きの理由は分かりません。確かめられるのは、ロスカットまでの値幅がふだんの値動きに比べて狭くなかったかどうかです。値幅が数円しかなかったなら、戻る前にロスカットに届くのは不自然ではありません。

損切りを置かずに、ロスカットを損切り代わりにしてもよいですか?

おすすめしません。ロスカットの値段は数量と資金で決まり、相場の見方とは関係がありません。また、急変時はロスカットの値段より不利に決済されることがあります。

ロスカットを防ぐために入金するのはどうですか?

維持率は上がりますが、損失が出ている取引にお金を追加することになります。入金する前に、その取引が最初に決めた損切りの値段をすでに超えていないかを確認してください。

この記事で参照した情報源(6件)

※記事の計算例は、条件を明示した仮定の計算です。実際の約定・ロスカットの価格や将来の損益を示すものではありません。

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